勤務することが無くなった2024年4月からは、雑誌「卓球王国」を読むのは図書館(武蔵野プレイス)と決めていたのですが、「これは買って手元に置いておきたい」号は書店で買うことにしています。最近では、2025年2月号、3月号、4月号です(2024年2月24日時点では、Amazonから2月号、3月号、4月号共購入可能となっています)。
特に注目したのは、もちろん全日本卓球2025で、最大の話題は松島輝空が張本智和を破った準決勝なのですが、その前に、テレビ観戦で見た、女子の準決勝の早田ひな-大藤沙月戦での早田の徹底的なミドル攻撃について取り上げたいと思います。それは、卓球王国2月号、3月号の大藤沙月特集で取り上げられた、大藤を急成長させた技術の解説を早田が読んでいて、その技術の弱点を早田が突いたのではないかという「妄想」についてです。もう一つ、実は、私が「大藤の技を盗んでいた」からです。
卓球王国2月号では10ページ、3月号では9頁ページが大藤沙月特集!
卓球王国2月号の表紙はティモ・ボルで、さらに、WTTファイナルズ2024福岡で女子ダブルス優勝の佐藤瞳・橋本帆乃香のインタビューもあります。しかし、2月号を図書館で読んだ後に本屋さんに走って購入した理由は、「大藤沙月インタビュー&技術」の記事があったからです。もう一つの理由は、「水谷隼&吉村真晴の本音トーク」があったからです。
世界ランキングを一気に一桁に上げることが出来たことについて、大藤はインタビューで、「守りのスタイルから攻めのスタイルに180度変わりました。これが一番大きな変化です。」と話していました。接戦になったとき、攻めないで守りに入ったら勝てないことは、日本のトップ選手と中国選手の試合で嫌と言うほど見ています。自分自身の試合でも、どれだけ経験したことか。しかし、攻めたときに相手コートの狙ったところにボールが入る技術的な裏付けがなければ自滅することも嫌と言うほど経験しています。さて、大藤はどのようにして「技術的な裏付け」を獲得したのか?
インパクトでボールの上部内側をとらえ、スイング2倍で分厚く当てろ!
「スイング2倍で分厚く当てろ 大藤沙月のパワースイング」の記事は、卓球王国2月号に前編、3月号に後編が掲載されています。私が「これだ」と思って自分のプレーに取り入れたのは2月号(前編)68ページのフォアハンドドライブのポイントです。「ボールの内側を分厚くとらえる」です。その説明では、「インパクトでボールの上部内側をとらえるように意識」とあります。これって、バックハンドもそうですよね!
バックスイングの引きを大きくして急成長した大藤:攻めるのはミドルだ!
1月21日に始まった全日本卓球2025に戻ります。1月25日の準々決勝で早田が芝田に勝った時点で、最終日26日朝の準決勝の早田ー大藤戦は互角かなと思いました。テレビ観戦していたのですが、早田は大藤のミドルを「いやらしく」攻めていました。フォアミドル、バックミドル、多分、長さや速さも変えていたのではないかと思われます。卓球王国4月号74ページの大藤の試合後のコメント、「ここで1本という場面で、思っていたところと逆にボールが来る。頭の良さを感じた」は、見ていて本当にその通りでした。つまり、強力な「2倍のスイング」を封じたのです。実際に卓球王国の記事を参考にしたかどうかは分かりません。しかし、全日本卓球2050が始まる1か月前の12月21日が販売開始日の2月号で「バックスイングの引きを大きくする」が大藤の急成長のポイントとして紹介され、1月21日販売開始の3月号で中陣からのフォアとバックの「フルスイングの連打」が特集されていたのはタイミング良すぎませんか?ミドル攻めでフォアとバックのフルスイングを封じたのですから。
大藤の技術と早田の攻略法からペン粒が学ぶこと
まず、バックハンド技術について。大藤の技術、「インパクトでボールの上部内側をとらえ、(スイング2倍で)分厚く当てろ」から学ぶべきことは何か、です。「スイング2倍」は中陣や「決めるとき」は有効だと思いますが、当面、「インパクトでボールの上部内側をとらえ、分厚く当てろ」にフォーカスします。
私は、「ボールの内側をとらえる」とシュート回転したりオーバーミスをすると思って怖がっていました。そして、ラケットを十分開くことなく、分厚く当てることなく、却ってオーバーミスを繰り返していました。特に、ペン粒の裏面打ちではその傾向が大きかったのです。ですから、「インパクトでボールの上部内側をとらえるように意識」することによって、格段にバックドライブが入るようになりました。また、体から左側に遠いボールを正面でとらえるのではなく、「ラケットを左脇腹に引くこともアリ」というのも救いでした。また、使う選手が稀な、ペン粒の表の面によるバックハンドにも生きる技術だと、密かに思っています。
粒高一枚ラバー(「OX」と表示される)をフォア面に貼ったペン粒のフォアハンドで、「インパクトでボールの上部内側を分厚くとらえる」ことが有効か、と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。これが有効なのです。台と同じくらいの高さ(ネットではない!)のボールをこの方法で打つと最小限のドライブがかかって相手コートに入り、しかも相手がブロックするとネットにかけてくれるのです。この場合には「スイング2倍」でも良いと思います。これが可能なのは、使っている粒高ラバーがHelfire-X(OX)であるのが理由の一つかも知れません。また、裏面のラバーがディグニクス64の特厚であることもバックドライブが入りやすい理由かもしれません。軽いラケットでグリップが握りやすいことも良いのかも知れません。しかし、「インパクトでボールの上部内側を分厚くとらえる」ことが有効なのは間違いないと思います。
「バックスイングの引きを大きくする」のは、もともと大振りの私は、なるべく意識しないようにしています。また、もともと守りの上手い大藤選手と違って、私は守りや「前に落として2バウンドさせる」技術に、大きな伸びしろがあることは間違いありません。そこをケアしつつ、早田の「ミドルをいやらしく攻める」ことを学びたいものです。
by ペン粒