私は「言葉の素直な意味で」NHK党ですので、今日も何気なく朝食をとりながらNHK地デジを見ていました。7時台の後半に、「インタビュー、これから」が始まりました。そして、65歳の現役プロレスラー、ジャガー横田さんの言葉の一つ一つに心を揺さぶられました。全然バックグラウンドも違い、蓄積したキャリアのレベルも違う73歳の「アラ七五さん」の私にとっても参考にしたいことばかりですが、特に私の琴線に触れた二つのことに触れたいと思います。

「私は中根英昭なので」と言えるか?

ジャガー横田さんはこうおっしゃいました。

「仕事をおさえたりとか、そうしなきゃいけないかなっていうことは、すごい葛藤がありましたね。息子にも不便させていましたし、夫にも不便させていると思うんですよ。でも、私はジャガー横田になったほうが先なので。あの人たちの妻になったり、親になったりする前に、ジャガー横田なので。

結婚した年齢が15歳も若い私は、妻や子供たちには、とても「私は中根英昭なので」とは言えませんでした。妻と一緒に作り上げてきた40年以上の人生ですので。メンタル的には、財津和夫の名曲「青春の影」の一節、「自分の大きな夢を追うことが 今までの僕の仕事だったけど 君を幸せにするそれこそが これからの僕の生きるしるし」のような気持ちでプロポーズした。というような話を最近したところと、妻は「そんなの嫌だわ」。この辺りは、石破首相が一度振られたエピソードに似ているのです。私の場合、結婚と研究者としてのスタートが同時だったことがちょっと違っていますが。

ただ、公的な仕事をほぼ引退した今こそ、「私は中根英昭だから」と自覚しなければと強く思いました。もちろん、妻も同じでしょう。多くの「アラ七五さん」にとってもそうでしょう。別に強くなければとか、闘争的でなければという意味ではありません。「私は〇〇だから」という自覚は突然生まれるものではなく、時間をかけて作られるものですから、若い方にとっても金言ではないでしょうか。

老害か否かの自問自答

ジャガー横田さんは「老害」について次のようにおっしゃていました。

「私はやっぱり年齢以上のものを見せなければいけない。キャリアがあるからこその何かを見せなければいけないというのはありますけど。リング上では自分がそれぞれアピールしなければいけない。やっぱりそれを「こうなんだよ!」って言っちゃうと、いまの世界では生きられないんだなと思いますので。私は、相手がどういう人だっていうのをしっかり受け止めて料理していくタイプの選手なので。そんなに邪魔にはなっていないとは思っているんですけれど、自分ではね。」

「キャリアがあるからこその何かを見せなければいけないというのはありますけど」と言いつつ、「そんなに邪魔にはなっていないとは思っている」という、このあたりのバランスを実現しているのはスゴいと思いますし、学ぶべきところだと思います。

この言葉を受けてちょっと考えたのですが、「他人への影響力に頼ってではなく、個人としてチャレンジしているかぎり老害ではない」と、まず思ったのです。「じゃあ、XX君に頼んでおいてあげるよ」みたいなことをしない、と言うことですね。ただ、個人としてチャレンジしているだけのつもりでも、いや、そのつもりが強いほど周囲に忖度させていることに気が付かないという「老害」になっていないか?若い時から若干(?)無神経なところのあった私は、自戒しなければと思う次第です。少なくとも、環境政策の具体的なあるべき姿について論じるのは、若い人たちに頑張ってもらえば良いと思っています。

老害の侵入の余地のないスポーツの試合の清々しさ

スポーツの世界、少なくとも試合そのものは「忖度なし」の世界です。卓球では、それを実感しています。武蔵野市の何の試合だったかで、30代か40代の私よりかなり強い選手と試合したときのことです。「口は災いの素」を絵にかいたような私は、試合前に相手選手に、「若い芽は早めに摘んでおかなきゃね」と言ってしまいました。試合結果は私の順当負けです。試合が終わった時、相手選手はこう言いました。「若い芽は早めに摘んでおかなきゃね」。確かに、卓球の実績と言う意味では私の方が「若い芽」なのです。若い芽として励まなければ!忖度の入る余地はありません。

卓球の世界では「年代別」の全日本選手権(全日本卓球選手権マスターズの部)があります。これは、特に「アラ七五さん」にとって有難いことです。制度化された「忖度」あるいは「老害」かもしれませんが、ルール化されているので疑心暗鬼なしにチャレンジできます。ここまで行けば立派なものです。スポーツは清々しい世界だと感じます。もちろん、清々しい試合を実現している仕組みは、ボランティア、ビジネス、行政などが複雑に絡まった社会の縮図で、お金やデジタルを含めた大きな変革の波にさらされていると思います。

「ジャガー横田でいられる日々を1日でも多く過ごしたい」が目標:これぞ「アラ七五さん」のウェルビーイングの肝。若者にとっても指針

「この先はどんなジャガー横田を目指していくんですか」という質問に、ジャガー横田さんはこう答えました。

日々、チャレンジしてますのでね。ジャガー横田でいられる日々を1日でも多く過ごしたいというのが、ずっとの目標で、日々の目標なのかな。私は私らしく生きたいとずっと思っていたので、若いときから。やっぱりジャガー横田、レスラーであるっていうものを誇りに持ちながら長く生きてきているので、“私らしく”っていうのがイコール、プロレスラーであって、それを家族も認めてくれている。だからそういう私で居続けたい、居続けますっていう感じですかね。」

膝を打ちました。このホームページのタイトル「ウェルビーイングライフ for スーパー七五さん&若者」や「そら飛べ、スーパー七五さん!若者と共に」で書いていることの本質ここにあり、と思いました。若い時からの生き方が、65歳のジャガー横田さんを、“私らしく”生きている、生き続けると言うことを可能にしているということを若者に伝えていると思います。同時に、一回り上の私たちにも、それぞれの“私らしく生きる”でいいんだと励まして下さっていると感じました。

by ウェルビー